第19回 集合 の教え方

ベン図を使って「かぶり」と「どちらも」を正しく数えよう

📋 この単元の概要

この単元では、集合の考え方とベン図(ベン・ダイアグラム)を使った問題の解き方を学びます。「犬を飼っている人」「猫を飼っている人」のように、ものごとをグループに分けて整理し、それぞれの人数や個数を求めます。中学受験の頻出テーマであり、論理的思考力を鍛える絶好の単元です。

集合の問題で最も重要な考え方が「包除の原理(ほうじょのげんり)」です。これは、2つのグループの人数を足すと重なり(どちらにも属する部分)を2回数えてしまうので、1回分を引く、という考え方です。式にすると「A+B−(AかつB)=AまたはB」になります。

ベン図は2つ(または3つ)の円が重なった図で、集合の関係を視覚的に表すことができます。円の重なり部分が「どちらにも属する要素」、重なっていない部分が「片方だけに属する要素」を表します。また、円の外側には「どちらにも属さない要素」が入ります。この図を描けるようになることが、集合の問題を解く第一歩です。

📌 ポイント

集合の問題では、必ずベン図を描いてから考えましょう。数字を直接たし算・ひき算しようとすると、重なりの処理を間違えやすくなります。ベン図に1つずつ数字を書き入れていくのが確実です。

⚠️ つまずきやすいポイント

重なり(重複)を二重に数えてしまう:「犬を飼っている人が15人、猫を飼っている人が12人。両方飼っている人は5人。犬か猫を飼っている人は何人?」という問題で、15+12=27人と答えてしまうお子さまが多いです。両方飼っている5人は犬のグループにも猫のグループにも含まれているので、2回数えてしまっています。正しくは15+12−5=22人です。

ベン図の各領域が何を表すかわからない:ベン図を描いても、「円Aだけの部分」「円Bだけの部分」「重なりの部分」「円の外の部分」のそれぞれが何を意味するのか混乱するお子さまがいます。ベン図の各領域にラベル(「犬だけ」「猫だけ」「両方」「どちらもなし」)を書き入れる習慣をつけましょう。

「どちらにも属さないグループ」を忘れる:「クラス30人にアンケートをとった」という問題で、犬も猫も飼っていない人の存在を忘れてしまうことがあります。全体の人数から「犬または猫を飼っている人」を引くと、「どちらも飼っていない人」が出てきます。この「外側」の領域は見落としやすいので注意が必要です。

⚠️ 注意

「犬を飼っている人は15人」と言ったとき、この15人には「犬だけ飼っている人」と「犬も猫も両方飼っている人」の両方が含まれています。この点を最初にしっかり確認しておかないと、ベン図への数字の書き入れで間違えてしまいます。

🎯 教え方のコツ

身近なアンケートを実際にやってみましょう:家族や友だちに「好きな食べ物」「好きなスポーツ」などの簡単なアンケートをとって、実際にベン図にまとめてみましょう。たとえば「カレーが好きな人」と「ラーメンが好きな人」を調べると、「両方好き」「カレーだけ好き」「ラーメンだけ好き」「どちらも好きではない」のグループに分けられます。自分で調べたデータを使うと、興味を持って取り組めます。

ベン図を色分けして描きましょう:ベン図を描くときは、2つの円をそれぞれちがう色で描くと、重なりの部分がどこか一目でわかります。たとえば赤い円と青い円を重ねると、重なりの部分は紫色(赤+青)になります。この色分けによって、「どちらにも属する」という概念が視覚的に理解できます。

数字はつじつまの合う順番で書き入れましょう:ベン図に数字を書き入れるときは、まず「重なり(両方)」の部分から書くのがコツです。次に、「Aの全体−重なり=Aだけ」「Bの全体−重なり=Bだけ」を計算して書きます。最後に「全体−(Aだけ+Bだけ+重なり)=どちらもなし」を求めます。この順番を守れば、矛盾なく数字が入ります。

💡 コツ

ベン図の数字は「内側から外側へ」書き入れましょう。重なり → 各円の残り → 円の外側、の順番で進めると間違いが減ります。各領域の数をすべて足して全体の人数と一致するか確認する習慣もつけましょう。

ステップ1:問題文を読み、ベン図を描く(2つの円と外枠を描く)
ステップ2:重なり(両方に属する部分)の数を先に書き入れる
ステップ3:各グループの合計から重なりを引いて、「〇〇だけ」の数を求めて書く
ステップ4:全体の数から各領域の合計を引いて「どちらにも属さない」数を求める

💬 家庭での声かけ例

「両方好きな人は何人いる?」――集合の問題で最初に注目すべきは「重なり」の部分です。問題文から「両方に当てはまる人」の人数を正しく読み取れているか確認しましょう。「犬も猫も飼っている人が5人」のように、「〇〇も△△も」という表現がキーワードです。

「この人はベン図のどこに入る?」――具体的な1人ひとりについて「この人は犬を飼っている?猫は?」と聞いて、ベン図のどの領域に入るか考えさせましょう。全員をベン図に配置していくことで、各領域の意味が実感できます。抽象的な数字だけの問題に入る前に、こうした具体的な体験をしておくと理解が深まります。

「全部たすと全体の人数になるかな?」――ベン図に数字を書き入れた後、各領域の数字をすべて足して全体の人数と一致するかを確認させましょう。一致しなければどこかに間違いがあるので、もう一度見直すきっかけになります。この「合計チェック」は検算の基本であり、テストでも非常に有効です。

声かけの例(家族で実践):

親「家族5人でアンケートしよう。カレーが好きな人?…お父さん、お母さん、○○ちゃんの3人だね。」

親「じゃあハンバーグが好きな人?…お父さん、○○ちゃん、弟の3人だね。」

親「両方好きな人は誰?お父さんと○○ちゃんの2人だね。ベン図に書いてみよう。」

子「まず真ん中に2を書いて…カレーだけは3−2=1人、ハンバーグだけは3−2=1人…」

親「全部で何人になった? 1+2+1=4人。あれ、家族は5人だよね?」

子「あ、どちらも好きじゃない人が1人いる!お姉ちゃんだ!」