第2回 速さ の教え方

「速さ・時間・道のり」の関係を図で理解し、単位変換を確実にしましょう

📋 この単元の概要

速さは中学受験で最も差がつく重要単元です。「速さ=道のり÷時間」「道のり=速さ×時間」「時間=道のり÷速さ」の3つの公式を使いこなすことが基本ですが、6年生では単位変換(km/時→m/分など)や、旅人算・通過算・流水算といった応用問題に発展します。

この単元の最大のポイントは、単位をそろえること図を描いて状況を整理することです。文章だけで考えようとすると混乱しやすいので、必ずダイヤグラム(時間と距離のグラフ)や線分図を描く習慣をつけましょう。

📌 ポイント

この単元で身につけたい力は3つあります。

  • 公式の運用力:速さ・時間・道のりの関係を自在に使いこなす力
  • 単位変換力:km/時⇔m/分⇔m/秒を正確に変換する力
  • 図解力:問題の状況をダイヤグラムや線分図で表す力

速さの基本をしっかり身につけることが、第16回「速さの応用」で扱う旅人算や通過算の土台になります。ここで手を抜くと後で大きくつまずくので、丁寧に取り組みましょう。

⚠️ つまずきやすいポイント

1. 単位変換のミス

速さの問題で最も多いミスが単位変換です。「時速72km=分速□m」のような変換で、×1000や÷60の順番を間違えたり、掛けるべきところを割ってしまったりします。

⚠️ 注意

単位変換は「道のりの単位」と「時間の単位」を別々に変換するのがコツです。
時速72km → まず km→m(×1000)→ 72000m/時 → 次に 時→分(÷60)→ 1200m/分
この2ステップを確実に踏ませましょう。

2. 時間を分数で表せない

「1時間20分」を「1と1/3時間」や「80分」に変換する操作でつまずくお子さまが多いです。特に「時間→分」は×60、「分→時間」は÷60ですが、どちらの方向の変換かを間違えやすいです。

3. 「はじき」の丸暗記に頼りすぎる

「は(速さ)・じ(時間)・き(距離)」の図を暗記して当てはめるだけでは、応用問題に対応できません。「速さとは何か」「なぜ道のり÷時間で求められるのか」という本質的な理解が必要です。

📌 ポイント

速さは「1単位時間あたりに進む道のり」です。時速60kmとは「1時間で60km進む」こと。この意味を常に意識させましょう。公式の丸暗記ではなく、意味から式を立てられるようにすることが重要です。

4. 問題の状況を図にできない

速さの文章題は情報量が多く、頭の中だけで整理しようとすると混乱します。「AさんとBさんが同時に出発して」「途中で休憩して」など、状況を時系列で整理できないお子さまが多いです。

🎯 教え方のコツ

1. 単位変換の「変換表」を作る

よく使う単位変換をまとめた表を作り、手元に置いて練習させましょう。

よく使う単位変換

・時速→分速:÷60

・分速→秒速:÷60

・時速→秒速:÷3600

・km→m:×1000

・m→cm:×100

【練習問題】時速36km=分速( )m=秒速( )m
答え:分速600m、秒速10m

2. 必ずダイヤグラムを描かせる

速さの問題では、横軸に時間、縦軸に距離をとったダイヤグラムを描く習慣をつけましょう。問題文を読みながら線を引いていくと、状況が一目で把握できます。

💡 コツ

ダイヤグラムは「速い人=傾きが急」「遅い人=傾きがゆるやか」「止まっている=水平線」と覚えましょう。2人の線が交わる点が「出会う場所と時間」を表します。

3. 身近な速さで感覚をつかむ

「人の歩く速さ≒時速4km≒分速約67m」「自転車≒時速15km」「車≒時速60km」のような目安を知っていると、答えの妥当性を確認できます。

問題文を読み、速さ・時間・道のりのうち何がわかっていて何を求めるかを整理する
単位がそろっているか確認し、必要なら変換する
ダイヤグラムまたは線分図を描いて状況を整理する
公式を使って式を立て、計算し、答えの妥当性を確認する

💬 家庭での声かけ例

問題に取り組む前

💡 コツ
  • 「速さと時間と道のり、どれがわかってる?どれを求める?」 — 3要素を整理させます
  • 「単位は全部そろってる?」 — 単位変換の必要性を確認させます
  • 「まず図を描いてみよう」 — いきなり式を立てることを防ぎます

つまずいているとき

声かけ例
  • 「時速60kmって、1時間で何km進むんだっけ?」 — 速さの意味に立ち返らせます
  • 「1時間は何分?じゃあ時速を分速に直すにはどうする?」 — 単位変換を段階的にガイド
  • 「答えの速さで歩いてみたら、速すぎない?遅すぎない?」 — 答えの妥当性を体感させます

日常生活での声かけ

💡 コツ
  • 「駅まで2kmあるよ。分速80mで歩いたら何分かかる?」 — 通学路で速さの実践
  • 「このバス、時速40kmくらいだね。30分で何km進める?」 — 移動中に計算練習
⚠️ 注意

速さの問題は計算量が多く、途中で集中力が切れやすい単元です。長時間一気に取り組むのではなく、15〜20分ずつ区切って練習する方が効果的です。