2つの数の合計と差から、それぞれの数を求める「和差算」をマスターしましょう
「和と差の問題」(和差算)は、2つの数の和(合計)と差がわかっているときに、それぞれの数を求める問題です。例えば「2つの数の合計は20で、差は4です。2つの数はそれぞれいくつですか?」というような問題を扱います。
和差算は、中学受験の算数でも頻繁に出題される重要な問題パターンです。一見難しそうに見えますが、線分図(テープ図)を使えば視覚的に理解でき、公式に頼らなくても自分の力で解けるようになります。
和差算の基本的な考え方は次の通りです。
ただし、公式を暗記させるのではなく、なぜこの式になるのかを線分図で理解させることが最も大切です。
この単元では、まず2つの数の和差算を確実にできるようにし、その後3つ以上の数に拡張したり、年齢算や配分の問題など応用場面に展開したりします。和差算の考え方は、連立方程式(中学1年)の基礎にもなるため、この段階でしっかり理解しておくことが将来の学習に大いに役立ちます。
保護者の方から見ると「公式を教えれば終わりでは?」と思われるかもしれませんが、公式だけ覚えたお子さまは応用問題で行き詰まります。線分図を使って「なぜその式になるのか」を理解しているお子さまは、問題のパターンが変わっても対応できる力がつきます。
「(和 + 差)÷ 2 = 大きい数」という公式を暗記しても、なぜそうなるのかがわからないと、少し問題の形が変わっただけで解けなくなります。「和に差を足すと大きい数の2倍になる」という仕組みを、線分図を使って実感させることが重要です。
「大きい数は(和+差)÷2、小さい数は(和−差)÷2」と丸暗記させるのは避けましょう。公式を忘れたら終わりになってしまいます。線分図を描けば、いつでも自力で式を導き出せるようになります。公式は「線分図で考えた結果をまとめたもの」として捉えさせてください。
問題文で「AとBの差は6で、AはBより大きい」と書かれているのに、BのほうにA+差の式を当てはめてしまうケースがあります。問題文をしっかり読み、「どちらが大きいのか」を最初に明確にする習慣が大切です。
和差算の理解に不可欠な線分図ですが、描き方がわからないお子さまが少なくありません。2本の線分をどのように描き、「和」と「差」をどこに表すのかが、最初の大きなハードルです。
線分図を描くときの手順は次の通りです。
この図を見れば、「小さい数を2つ分+差=和」→「小さい数=(和−差)÷2」が自然に導けます。
和差算で求めた2つの数が、本当に条件(和と差)を満たしているかを確認しないお子さまが多いです。計算ミスに気づくためにも、「2つの数を足して和になるか?引いて差になるか?」を必ず確かめましょう。
いきなり抽象的な問題を出すのではなく、日常生活に結びつけた場面で和差算を体験させましょう。
「お兄ちゃんと弟のおこづかいは合わせて1000円。お兄ちゃんが200円多いとき、それぞれいくらもらっている?」
「2つの箱にりんごが合わせて18個入っています。Aの箱にはBの箱より4個多く入っています。それぞれ何個?」
実際のお菓子やおもちゃを使って、目の前で「合計」と「差」を見せると理解が深まります。
和差算の最も効果的な教え方は、線分図を一緒に描くことです。以下のステップで練習しましょう。
線分図は最初のうちはお手本を見せながら一緒に描き、慣れてきたらお子さま自身に描かせましょう。「線分図さえ描ければ和差算は必ず解ける」という自信を持たせることが重要です。線分図を描く練習に十分な時間をかけてください。
最初は暗算でも答えがわかるような簡単な数から始めましょう。「和が10、差が2」のように小さな数なら、「6と4かな?」と直感的にわかるお子さまも多いです。その直感が正しいことを線分図で確認することで、線分図の有用性が実感できます。
レベル1:和が10、差が2 → 答え:6と4
レベル2:和が20、差が6 → 答え:13と7
レベル3:和が53、差が11 → 答え:32と21
レベル4:文章題「兄と弟の体重の合計は65kgで、兄は弟より7kg重い」→ 答え:36kgと29kg
和差算には「小さい数から求める方法」と「大きい数から求める方法」の2つのアプローチがあります。両方を教えることで理解が深まります。
方法A(小さい数から):和から差を引くと小さい数の2倍 → 小さい数 =(和 − 差)÷ 2
方法B(大きい数から):和に差を足すと大きい数の2倍 → 大きい数 =(和 + 差)÷ 2
どちらの方法でも同じ答えが出ることを確認すると、理解がさらに深まります。お子さまが好きな方法を選んで使えるようにしてあげましょう。
和差算は「パズルを解くような楽しさ」がある問題です。お子さまがその面白さに気づけるよう、前向きな声かけを心がけましょう。
和差算は、初めて触れるお子さまにとっては難しく感じる単元です。「何回やってもわからない」と落ち込んでいるときは、「みんな最初はそうだよ。線分図を一緒に描いてみよう」と寄り添ってあげてください。一度「わかった!」という体験ができれば、そこから一気に理解が進むことが多い単元です。